2025年後半にXやFacebookで発信してきた数多くの記事をあらためて振り返りながら、生成AIを中心とした技術トレンドや、BRMS・ローコード開発を取り巻く変化を整理していきます。そのうえで、個別のニュースを点として捉えるのではなく、それらをつなぐことで見えてくる共通の潮流や、今後企業が注目すべきポイントについて考察していきたいと思います。
2025年後半に向けたAI・BRMS・ローコード開発の潮流
2025年後半にかけて、AI分野では「生成AIの実運用フェーズへの移行」が明確になってきました。単なる実験導入ではなく、業務プロセスや意思決定の中核に組み込む動きが、日本・海外ともに加速しています。
特に日本では、経済産業省とNEDOによる国産生成AI開発プロジェクト(GENIAC)が象徴するように、「巨大モデル一辺倒ではない、業務特化型・軽量モデル」への関心が高まっています。これは、既存システムとの統合やガバナンスを重視する日本企業の志向を反映したものです 。
一方、世界的には生成AIを前提とした内製化・自動化が進んでいます。米国では、生成AIを活用して開発期間を大幅に短縮し、内製化によって競争力を高めた製造業の事例が報告されています。こうした動きは、ローコード/ノーコード開発とも強く結びつき、「誰が、どこまで業務ロジックを扱えるか」というテーマを再び浮き彫りにしています 。
BRMS(ビジネスルール管理システム)は、この流れの中で再評価されています。DXの失敗要因として指摘される「業務プロセスの見直し不足」や「段階的導入の欠如」は、実はビジネスルールを明確に分離・管理できていないことと深く関係しています。そこで業務判断をルールとして整理・可視化するBRMSは、DXを支える基盤技術として再注目されています 。

生成AIがBRMS(ルールエンジン)に与える影響と連携のメリット
生成AIの進化は、BRMSの価値を置き換えるものではなく、「補完し、拡張する」方向に作用しています。
近年注目されているのが、LLM(大規模言語モデル)で業務文書や仕様書などの非構造データからビジネスルールを抽出し、人間が確認したうえでBRMSに登録する二段階プロセスです。このアプローチにより、生成AIのスピードと、BRMSの透明性・統制力を両立できます 。
生成AI単体による意思決定は、ブラックボックス化や説明責任の問題を避けられません。一方、BRMSは「なぜその判断に至ったのか」をルールとして明示できます。
このため、
- 生成AI:非構造データからの知識抽出、ルール化の提案
- BRMS:判断基準の明文化、可視化、トレーサビリティ、検証、統制、監査対応
という役割分担が現実解として浮かび上がっています。
実際、動的プロンプトの切り替えや、複数AIエージェントの協調処理においても、最終的な判断制御をBRMSに委ねることで、精度と説明可能性が向上することが示されています 。

今後のBRMS市場の見通し
市場調査によれば、BRMSの市場は今後も堅調な成長が見込まれています。ある予測では、BRMS市場規模は2030年代初頭にかけて数十億ドル規模に達し、年平均成長率は10%前後とされています。特に金融、保険、公共、ヘルスケアといった「判断の正確性と説明責任」が重視される分野での導入が拡大しています 。
この成長を後押ししているのが、AI・IoTとの連携です。
AIが高度な分析や予測を行い、BRMSが最終判断を統制する構造は、「デジタル・デシジョン・マネジメント」として定着しつつあります。今後は、生成AIの普及とともに、判断のガバナンスを担うBRMSの重要性はグローバル市場では高まると考えられます。

InnoRulesのBRMSとしての強み
こうした潮流の中で、弊社が提供する InnoRules は、日本企業の実務に最適化されたBRMSとして特徴的なポジションを築いています。
InnoRulesは、業務仕様から直接ルールを定義・管理できる点に強みがあり、ITエンジニアに依存せず、業務部門自身がルールを理解・変更できる設計思想を採っています。
これは、
- ビジネスサイドの視点でルールを整理する
- 変更頻度の高い判断ロジックをシステムから分離する
- ルールの利用状況を可視化し、継続的に改善する
という、DXや生成AI活用で求められる要件と高い親和性を持っています。
また、生成AIと組み合わせることで、「AIが作り、BRMSが守る」という役割分担を実装しやすい点も、今後の大きな強みになるでしょう 。

最後に:生成AI時代だからこそ、BRMSが「判断の基盤」になる
生成AIの進化は、業務を劇的に変えつつあります。しかし同時に、「その判断は正しいのか」「説明できるのか」という問いが、これまで以上に重くなっています。
今年の記事群が示しているのは、AIを活かすためには、判断基準を人間が理解できる形で管理する仕組みが不可欠であるという事実です。
BRMSは、生成AI時代における過去の技術ではなく、むしろ「判断の基盤」として再び中心に立つ存在です。
InnoRulesのような実務志向のBRMSは、AIと人間をつなぐ要としての重要性が今後さらに高まると考えており、イノルールズはその実現に向けて研究開発を進めていきます。