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【セミナーレポート】ビジネスロジックの民主化による競争力強化戦略

2025年11月5日 by
【セミナーレポート】ビジネスロジックの民主化による競争力強化戦略
innorules, イノルールズ株式会社

【セミナーレポート】ビジネスロジックの民主化による競争力強化戦略

2025年7月16日(水)、「ビジネスロジックの民主化による競争力強化戦略~変化に強いシステムを内製化する秘訣とは~」と題したオンラインセミナーをイノルールズ株式会社、アステリア株式会社との共催で開催いたしました。

本セミナーでは、ビジネスロジックの民主化をテーマに、低コストで高効率なシステム構築の実現方法について、イノルールズ活用事例やデモンストレーションと共にご紹介いたしました。また、システム間の自動連携による業務の効率化やデータの活用をノーコードで実現するASTERIA Warpのご紹介もしております。

 

当日は、多くの方にご参加いただき、盛況のまま終了いたしました。

本稿ではセミナーでお話した内容をまとめました。興味がある方は是非ご一読ください。

“ビジネスロジックの民主化”で現場が主導するロジック管理へ ~変化に強く、低コスト・高効率なシステム構築の実践法~


講演:イノルールズ株式会社 白石浩一 氏


ビジネスロジックの民主化のすすめ


市場や顧客ニーズの変化に柔軟に対応できるかが企業の競争力を左右する時代となりました。しかしその一方で、現場ではまだ対応しきれていないという声が数多く聞かれています。本セッションではそうした課題への向き合い方を事例を交えながらお話いたしました。

 

例えば、新商品のキャンペーンルールの変更や法改正に伴う計算ロジックの改定といった多少のビジネスロジックの変更だったとしても、システムの改修に多くの時間やコストを要することはよくあります。それは、業務部門からの変更依頼を受けたIT部門による要件定義や外部ベンダーへの委託(開発・テスト・実装等)といったビジネスルール変更に関わるプロセスが多重構造になっているため、完了まで数週間から数カ月かかってしまうためです。さらに、各フェーズではコミュニケーションロスによる認識の齟齬が起こることも珍しくなく、これによってコストもかさみます。結果として、現場が求めるスピード感にITシステムが追い付かないという構造的なギャップが発生することになります。また、ビジネスの知識が現場にあるにもかかわらず、システムに埋没してしまい、ビジネス全体のルールを見渡せる人材が不在となってしまうといったことも起きています。

 

昨今、IT人材が不足しており、IT部門への負担がより大きくなりがちです。

ITの現場でより深刻なケースでは、システムの改修を何度も重ねることによってブラックボックス化し、現場やIT部門、ベンダーでさえもロジックの中身を理解できず、変更ができないといった状態のシステムが誕生しています。


そこで近年は、埋もれてしまったビジネスロジックをIT資産の中から取り出して、現場が活用できるようにすることが求められています。

 

こうした状況に対して当社が提案するのは、ビジネスロジックの民主化です。これは、これまでIT部門やベンダーが担っていた開発を含めたビジネスロジックの管理を現場に取り戻すという考えです。ここで指すビジネスロジックとは、ビジネスルールであり、ルールとは同値のワードとして扱っています。

推し進めるにあたっての重要なポイントは、ルールを現場が管理し、IT部門はその仕組みの提供と統制を行うといった役割分担とし、両者が協調することです。

具体的には業務をよく理解する現場が、ルールの作成から変更・テスト・運用までを主導します。一方、IT部門はシステムの安定性やセキュリティといった土台の管理に集中します。これによってIT部門は、日々の細かなビジネスルールの修正作業から解放され、より戦略的で付加価値の高い仕事に集中することが可能になります。


業務とITの協調

この民主化によって、ルール変更に関わる時間が平均で1/3に短縮され、さらには内製化が進むことで外部ベンダーへの委託が減り、外注コストの削減を可能とします。実際、40%ほどのコストカットに成功したという事例が存在します。

また、最も重要な効果として、これまで専門家やシステムに集中していた業務知識(暗黙知)を、目に見えるルール(形式知)として組織の資産とすることができる点です。これによって、ノウハウを現場や組織全体で活用できるようになり、また現場主導での業務改善サイクルを高速で実施することができるようになるため、組織全体の変化への対応力向上を実現することができます。

具体的な導入効果の数値については下図をご参照ください。

ルールの導入効果

INNOプラットフォームでビジネスロジックの民主化を実現


民主化の実現のカギは当社が提供するINNOプラットフォームです。

INNOプラットフォームは、商品を管理するInnoProductと、BRMSであるInnoRulesの二つの製品から成り立っています。これによって、現場がITの専門知識を持たずとも、ビジネスルールや商品情報を直接変更・管理することが可能です。

従来は、業務ごとにアプリケーションやルールが存在していましたが、INNOプラットフォームでは商品情報やビジネスルールを一元的に管理し、活用するため、従来のアプリケーションと比べ、冗長性を必要としない、スリムでシンプルなシステムを実現します。また、ノーコード開発であるため、特別な開発環境やプログラミング知識がなくとも直感的にルールを作成することができます。

INNOプラットフォームの特徴の詳細は下図をご参照ください。


INNOプラットフォーム


セミナーでは、ルールの管理を行う、InnoRulesでの割引仕様ルールの作成・変更方法のデモンストレーションを実施し、INNOプラットフォームへの反映方法についてご説明しました。


導入事例:損害保険ジャパン株式会社様


長年使い続けた基幹システムがブラックボックス化してしまい、保険商品の改定や新規開発に時間や手間がかかっていました。また、ロジックやパラメータが分散しており、保守が困難な状況でした。変化の速い市場に対応すべく、安定性や環境変化への柔軟な対応力、長期的な運用に耐えられる構造をもったシステムを求め、INNOプラットフォームへの移管を決定されました。

導入後、従来の商品開発と比べ、要件定義からシステムテストまでの時間を約65%短縮に成功。年1回程度の商品改定をより短い間隔で実施できる環境を実現。他社と比べ、より早く商品を提供できる体制をつくることができています。


損保ジャパンの導入事例


以下は導入前後のイメージです。

損保ジャパンの導入前後


より詳細な導入事例は以下よりご覧いただけます。

https://www.innorules.co.jp/sun-bao-shiyahanyang-nodao-ru-shi-li

 

INNOプラットフォームは、金融、流通、製造など、様々な業種のトップ企業での導入効果が実証されています。

 

さいごに


かつて、一体だったシステムはデータや画面など役割ごとに分離することで進化してきましたが、昨今はビジネスロジックを分離するという時代となりました。これはITアーキテクチャの進化として、必然と言える流れだと考えられます。

当社のInnoRulesは、アステリア社のASTERIA Warpとの連携によって、より力を発揮します。

実際、両者をご利用いただいている日本生命保険相互会社様では、既存方式と比較して開発生産性が30%以上向上し、また、業務理解も向上したといったコメントを頂いています。

 

こういった分業連携という考えはガートナーが提唱するコンポーザブルERPという新しいシステムの形を示しています。今後こうした形での導入は増えていくと考えています。

本セミナーを通じて、ビジネスプロセスの民主化に興味をお持ちいただけましたらぜひ進めて頂きたいと考えています。当社では製品の体験版をご用意していますので、製品の操作性を体験頂けます。

興味がある方は、当社の営業担当までお問い合わせください。

https://www.innorules.co.jp/contactus


変化に強い業務プロセスを支える自走型データ連携とは?


講演:アステリア株式会社 ビジネス企画室 森慶輔 氏


当社が考える自走型データ連携とは、現場主導で業務プロセスや連携処理をシステム化し、自動化・最適化を継続できる仕組みです。

これを実現するにあたってのポイントはノーコードによる現場での開発や、変化に応じて連絡先の変更・追加、人手による判断・作業を自動化するといったところにあり、最終的には「システムに人が合わせる」から「人が業務に集中できる基盤」を目指すことが目標となります。

そうした中で、システムの導入方法として部分最適と全体最適といった考え方があります。

部分最適に関して言えば、各業務に合わせた最適なシステムを導入するため、コストの最適化が可能で、自社の業務にあったシステムを選択しやすくなります。一方で、全体最適は各業務に一括で対応できるシステムを選択するため、高額になりがちで、自社の業務に合わない機能はどうしても出てきてしまいます。そうなると、合わない機能を捨て、個別に必要なシステムを導入するといった手段を取られることが出てきます。そのため、当社としては部分最適の手法を取られることをお勧めしています。

 

さて、部分最適で導入する場合、システムをまたいだ情報連携が必要となるため、時間や労力がかかってしまう状況が生まれます。そのため、システム間で必要な情報が自動的に連携される状況が必要です。

こうした状況に対して、当社は各システムの中心に連携基盤を設けることで、各システムとの連携ができる仕組みを作ることを提案しています。

先のセッションでイノルールズ社が紹介していたBRMS(ビジネスルールマネジメントシステム)に関して言えば、データ連携を組み合わせることで人が判断していた業務を自動化することが可能になります。

例えば、残業時間を上限時間で自動判定することや与信チェック付き受注処理を限度額で判定する、支店の売上規模等をルールに沿って判断するといったことです。


ASTERIA Warpを実際に導入した日本生命保険相互会社の例で言えば、複雑化・属人化し、業務の手間や開発保守コストが嵩んでいたシステムに対し、ASTERIA Warpによるデータ連携を行うことで、保守コストを年30%削減、さらにBIツール上にある情報をExcelファイルと自動連携することで月20時間の作業時間を削減することに成功しています。詳しい効果は下図をご覧ください。


日本生命の導入事例

組み合わせのポイントとしては、BRMSは判断ロジックを自動化し、柔軟に変更が可能な形(条件分岐、対応可否判断、ルールの適用)にすること、データ連携ツールに関してはデータをつなぐ、動かすこと(システム間連携、ファイル処理、API呼び出し)が重要です。

ASTERIA Warpは様々なシステムやサービスと連携し、業務の効率化やデータの活用をノーコードで実現する連携ツールで、100種類以上のサービスやシステムとの連携をアイコンを並べるだけのノーコードで連携が可能です。現在、1万社を超える企業で導入され、業種・業態問わず様々な企業にご活用頂いており、2024年のソフトウェアマーケティング総覧では18年連続シェアNo.1を獲得しています。

ASTERIA Warpはデータ連携基盤/EAIとして利用されることが多く、それ以外ではクラウド連携、データ分析基盤、マスターデータ管理、RPAとの組み合わせによる業務自動化範囲を広げるといった形で利用されている企業も多くなっています。

標準で連携可能なサービスについては下図をご参照ください。

ASTERIAWarp


データ連携の定義方法はフローデザイナーを利用して、コンポーネントをドラッグ&ドロップで配置し、プロパティなどの設定を行うなど感覚的に行っていただけます。また開発者に嬉しい機能として、仕様書をボタン1つで簡単に作成される機能や、汎用的な処理をフローとして登録して利用できるようにした機能、バージョン管理機能などを用意しています。

具体的な画面や機能については下図をご参照ください。

フローデザイナー

現在、ASTERIA WarpはiPaaS版、サブスクリプション版、パーペチュアル版(買い切り型)を提供しています。製品ラインナップや各製品の価格については下記URLよりご確認ください。

https://www.asteria.com/jp/warp/lineup/

 

ご利用に際し、ご不明な点などがあればハンズオンセミナーや5日間試用できる環境、評価版をご用意しています。また、ユーザーコミュニティがあり、活発なコミュニケーションが行われています。実際の使用方法なども共有されていますので、ぜひご活用ください。


・ハンズオンセミナー

https://event.asteria.com/jp/event/etaiken_web/

 

・ASTERIA Warp 無料評価版お申し込み

https://www.asteria.com/jp/contact/asteria/trial/

 

・Asteria Park(ユーザーコミュニティ)

https://asteria-park.commmune.com/view/home


Q&A

Q.イノルールズの製品利用にあたってのスキルセットは?

A. ルールを書く部分がExcelを中心としているため、Excelでよく利用される関数(sumなど)が利用できれば比較的スムーズに開発者となれます。実際にExcelを

     使い開発をしていた企業は、簡単なハンズオンを受講しただけでリリースまでもっていっています。

    また、当社でもトレーニングプログラムを用意しており、2時間程度で終わるハンズオンやGoogle Classroomで動画を見ながら学ぶことも可能です。より詳細な      

    トレーニングを受講されたい方は個別で対応しておりますので、ご相談ください。

 

Q.イノルールズの製品でよく利用されている業種は?

  1. InnoRuleは業種問わず適用されています。INNOプロダクトに関しては、日本では生命保険、損害保険、ケーブル会社の事例があります。特に複雑で変えくいルールをお持ちの企業によくご活用頂いています。