カーリース業界では、請求元となる全国の整備工場から請求ミスが多発しています。記載漏れや工賃の不整合、二重請求など、発生するミスは多岐にわたり、それをチェックするために大人数の人手を投入しても、なかなか減少しません。本記事では、カーリース業界における請求ミスの発生理由と、チェック作業に多くの人手が必要となる背景、さらにBRMS（ビジネスルール管理システム）を活用した解決策について解説します。
🔖目次
- カーリース業界で請求ミスが発生する理由
- 請求ミスをチェックするには、大人数での対応が必要
- 代表的な請求ミスの例
- BRMS導入による解決策
- 導入事例
- お客様の声
- まとめ
1. カーリース業界で請求ミスが発生する理由
カーリース会社は、リース車両の維持・修理を全国の整備工場に委託し、請求を受け取ります。しかし、整備工場ごとに請求フォーマットや基準が異なるため、統一性がなく、請求ミスが頻発します。主な原因は以下の通りです。
(1) 多様な整備工場と異なる請求ルール
- 全国に数万の整備工場が存在し、それぞれ請求書のフォーマットや記載方法が異なる
- 工場によっては電子請求に対応せず、手書き請求も存在する
- 一部の整備工場はカーリース特有の請求ルールに不慣れ
(2) 人手での処理が多く、ミスを防ぎにくい
- 請求書のチェックは多くの場合、人が目視で確認している
- 毎月数万から数十万件に及ぶ請求書を処理するため、確認の手間が膨大
- 人による判断のため、ミスを完全に排除するのは困難
(3) リース会社ごとに異なる請求基準
- 各リース会社で請求基準（工賃、部品価格、消費税の扱いなど）が異なる
- 基準の変更が頻繁にあり、整備工場側が最新ルールを把握しきれない
- 規定違反の請求が発生しやすい
(4) 不正請求のリスク
- 部品代の水増しや二重請求が発生することがある
- 整備工場が意図せず誤った金額を請求してしまうケースも
- リース会社側でのチェックが甘いと、不適切な支払いが発生
2. 請求ミスをチェックするには、大人数での対応が必要
請求ミスを防ぐため、リース会社では請求書チェック専用の担当者を配置し、以下のような対応を行っています。
- 請求書のフォーマットを統一するためのルール整備
- 請求金額・工賃の適正性をチェックするためのデータベース参照
- 記載漏れや不整合の確認のため、整備工場との再確認作業
- 不適切な請求があった場合の差し戻し業務
しかし、人手を増やしても以下の理由で請求ミスはなくならない。
(1) チェック作業の膨大さ
- 1カ月あたり数万件から数十万件の請求書を目視で確認するには、膨大な人員が必要
- 作業が多すぎて、一つ一つを細かくチェックすることが困難
(2) ルールの複雑さ
- リース会社ごとに異なるルールを正確に適用するのが難しい
- ルールの変更が頻繁にあるため、すべてのスタッフが把握するのが困難
(3) ヒューマンエラーの発生
- 繰り返しの手作業により、確認ミスや見落としが発生
- すべての請求書を完璧にチェックするのは不可能
このように、大人数で対応しても請求ミスをゼロにするのは困難であり、システムによる自動化が求められています。
3. 代表的な請求ミスの例
請求ミスの種類 | 具体的な例 | 発生理由 |
|---|---|---|
記載漏れ | 修理内容や使用部品の明細が未記入 | 手書き請求や入力ミス |
金額の不整合 | 部品代や工賃がリース会社の基準と異なる | 工場ごとに価格基準が異なる |
二重請求 | 同じ修理を2回請求 | システム未統一による手動ミス |
請求先の誤り | 他のリース会社に誤請求 | 複数のリース会社と取引している |
工数の誤り | 修理時間が標準時間より長すぎる | 工賃計算のルールが不明確 |
4. BRMS導入による解決策
(1) BRMS（ビジネスルール管理システム）の役割
BRMSは、ビジネスルールをシステム上で統一管理し、自動適用する仕組みです。これを活用することで、請求ミスの削減が可能になります。
(2) BRMS導入のメリット
- ルールの自動適用 → 人手を介さずに請求チェックを自動化
- リアルタイムエラー検出 → 記載ミスや金額不整合を即時検出
- 整備工場ごとに異なるルールの統一 → 全国で統一基準を適用
- ルール変更が即時反映 → システム改修不要で最新ルールを適用
5. 導入事例
(1)お客様の課題
日本の某オートリース社は、全国の整備工場から毎月10万件にのぼる請求書を受領しており、従来は20人の社員が目視で記載漏れやミスを確認していました。しかし、チェック漏れや確認作業に時間を要する点、そして整備工場ごとの例外ルールに対応する必要があるため、ベテラン社員の属人的な対応に依存するなど、業務の効率化と品質維持に限界がありました。
(2)InnoRules導入効果
この課題を解決するため、AIとBRMS（ビジネスルール管理システム）を組み合わせた請求書確認システムを構築し、ベテラン社員の判断プロセスをルールエンジンで再現しました。このシステムは、請求書の記載内容を「問題あり・問題なし・判断困難」の3区分に自動分類することが可能であり、記載漏れやミスの発見件数を従来の1万件から2万件へと倍増させました。さらに、人手で対応する請求書の件数を半減させるなど、チェック精度と業務効率の大幅な向上を実現しています。今後は「判断困難」に分類された4万件についてもルールの拡充を図り、全件を自動処理可能とする体制の確立を目指しています。
6. お客様の声
BRMSを導入した企業では、以下のような効果が得られました。
✅ 整備工場との関係強化
BRMSによる網羅的かつ迅速なチェックにより、整備工場とのやり取りがスムーズになり、信頼関係の強化につながりました。
✅ 業務効率の向上と省力化
働き方改革が求められる中で、増大する業務量を抑えつつ、作業負担を軽減。チェックの品質が標準化され、サービスレベルが向上しました。
7. まとめ
カーリース業界では、請求ミスを人手で防ぐのが難しく、BRMSによる自動化が不可欠です。BRMSを導入することで、請求ミスを削減し、業務の効率化とコスト削減を実現できます。請求業務に課題を感じている企業は、ぜひBRMS導入を検討してみてください。