はじめに
昨今のビジネス環境において、ERPシステムの重要性は増す一方です。特に、SAPに代表される大規模ERPソリューションは、企業の基幹システムとして広く採用されています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速に伴い、システムの柔軟性と拡張性がこれまで以上に重要視されており、急速に変化するビジネス要件や新しい規制への対応には、より柔軟な解決策が必要とされています。当ブログ記事では、SAPとBRMSであるInnoRulesとの連携が効果的なケースを紹介します。
「BRMS」というキーワードに馴染みの無い方は、こちらの ブログ記事 に解説がありますので参照してください。
ERPシステムの課題と解決策
ERPシステムは、企業の基幹業務を効率的に管理・運用するために不可欠なツールですが、以下のような課題が指摘されています:
- カスタマイズの複雑さと高コスト
- 業務ルール変更への迅速な対応の難しさ
- 新規制や法改正への柔軟な適応
これらの課題に対して、BRMSであるInnoRulesとの連携が効果的な解決策となります。
InnoRulesとSAPの連携による価値創造
SAPなどのERPソリューションによる業務システムの構築において、ERPに備わる標準機能だけでは対応が難しい追加機能をInnoRulesで補完することで、新しい規制対応など高度な機能を柔軟に実現できます。この連携により、以下のような価値が創出されます:
- 業務ルールの可視化と標準化
- システム変更における開発工数の削減
- ビジネスユーザーによるルール管理の実現
- コンプライアンス対応の強化
技術的な連携方式の詳細
InnoRulesとSAP(ERP)の連携は、以下の3つの方式で実現可能です:
1. ABAPからAPI経由でのInnoRules呼出
この方式では、SAPのABAPプログラムから直接InnoRulesのルールエンジンを呼び出します:
- SAP(RFC) → SAP RFC Server → Rule API → Rule engine呼出
- ERPシステムからルールエンジンを直接呼び出す方式
- リアルタイム処理に適しており、即時の判断が必要な業務に効果的
2. CallBackRuleによるABAPモジュール参照
ルールの実行中にSAPの機能を利用する必要がある場合に適した方式です:
- CallBack Rule → SAP RFC Client または JCO(SAP Java Connector) 呼出
- ルールエンジンからERPの機能を呼び出す方式
- 複雑な業務ロジックの実装に適している
3. DB Access RuleによるSAP業務DB参照
大量データの参照や更新が必要な場合に効果的な方式です:
- DB Access Rule → SAP DBにJDBCを通じて SQL実行
- データベースレベルでの直接連携方式
- バッチ処理や大量データ処理に適している
※RFC(Remote Function Call):SAPシステムの標準リモート呼び出しプロトコル
セキュリティと性能の考慮事項
システム連携においては、以下の点に特に注意を払う必要があります:
- 通信の暗号化と認証管理
- パフォーマンスチューニング
- エラーハンドリングの実装
- 監査ログの取得と管理
導入効果
InnoRulesとSAPの連携により、以下のような効果が期待できます:
- ERPとBRMSの特性を活かした最適な業務分担
- 業務ロジックの柔軟な変更対応が可能
- 保守性の向上とコスト削減
- 迅速な規制対応や業務変更への対応
- 業務ルールの一元管理による整合性の確保
- システム運用コストの最適化
実績のある適用事例
グローバル企業での導入実績
INNORULESには様々な業界で、SAP(ERP)連携の導入実績があり、特に以下の事例が代表的です:
- サムスングループの統合ERPにおける国際会計基準IFRS対応
- グローバル会計基準への準拠
- 複雑な連結決算ルールの実装
- DBグループの営業/マーケティング奨励金業務
- 柔軟な報奨金計算ルールの実装
- 営業実績データとの連携
- 教育サービス企業での給与/インセンティブ計算システム
- 複雑な手当計算ロジックの実装
- 勤務実績との連携
想定適用業務領域
ERPパッケージや基幹システムとの連携については、以下のような業務領域での活用が効果的です:
- 頻繁な制度改定が発生する業務領域
- 税制改正への対応
- 社内規定の変更管理
- 複雑な計算ロジックを含む業務処理
- 報酬計算システム
- 価格設定システム
- ERPパッケージの標準機能では対応が難しい拡張業務
- 業界特有の業務要件
- カスタマイズが必要な処理
- 柔軟な業務ルール変更が求められる領域
- キャンペーン管理
- 与信管理
システム連携時の考慮事項
システム連携のプロジェクトについては、以下の点について十分な検討が必要です:
- 既存システムへの影響度評価
- 必要なインフラストラクチャーの検討
- 運用保守体制の構築と、ユーザートレーニングの実施
- 障害時の責任分界点の整備
まとめ
InnoRulesとSAPの連携により、ERPの堅牢性とルールエンジンの柔軟性を組み合わせた、より効果的な業務システムの構築が可能となります。
今後のビジネス環境の変化に対応するためには、システムの柔軟性と拡張性が重要な要素となります。InnoRulesとSAPの連携は、そのような要求に応える効果的なソリューションであると言えます。本ブログ記事に興味を持たれた方は、お気軽にお問い合わせください!
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