コンテンツへスキップ

成長を支えるIT基盤改革:BRMS導入による進化の事例

2025年1月27日 by
成長を支えるIT基盤改革:BRMS導入による進化の事例
innorules, イノルールズ株式会社

🖐️初めに

ある製薬企業が、BRMS(Business Rule Management System)の一つである「InnoRules」を導入し、IT基盤を進化させた事例をご紹介します。

📄概要


 この企業は、これまで従来の業務パッケージとスクラッチ開発を用いてシステムを運用していましたが、仕様変更に伴う対応には高額なコストがかかり、パッケージの制約によって一部の業務要件を満たすことができないという課題がありました。

業務パッケージは標準仕様に基づいて設計されているため、その枠を超えたカスタマイズが難しく、企業独自の要件に対応するのが困難なケースが多かったのです。その結果、特定の経験者しかシステムのメンテナンスができない状態(属人化)に陥り、保守性が低下するという問題が発生していました。

InnoRulesを導入したところ、従来のパッケージでは対応が難しかった部分を補完できるようになり、IT基盤の強化に成功しました。このシステムは、業務担当者を含む誰でも簡単にメンテナンスが行えるものへと進化し、保守性が大幅に向上しました。

また、今後はBRMSの適用範囲をさらに広げ、ビジネスのスピードと柔軟性を一層高めることを目指しています。特に、これまでパッケージの制約で対応が難しかった業務領域において、BRMSの柔軟性を活かして効率化を進め、顧客満足度の向上を図る計画です。


InnoRules導入の経緯


属人化が進んでいる



スクラッチ開発による属人化の排除、生産性の向上、ビジネスへの対応スピードが重要課題


これまでのスクラッチ開発による複雑化したプログラムの中身を可視化し、保守しやすくする事が重要課題でした。経験の少ないエンジニアでも容易に新機能開発や保守ができ、属人化したITシステムを刷新することが必要でした。

つまりITワークの平準化、属人化の排除、生産性の向上が大きな課題でした。これらの課題を解決することでビジネス的なリクエストにも迅速に対応できるようになると判断しました。システムが対応できないことでビジネスが進まない状況にならないことが重要だったのです。



課題へのアプローチ


4つの課題があり、BRMSを活用してどのように解決したかを見てみましょう。

課題

詳細

BRMSによるアプローチ

ビジネス要求に迅速に対応できない

- 市場や顧客ニーズの変化に対応が遅れ、競争力が低下する。

- 顧客満足度が下がり、信頼やブランドイメージに悪影響を与える。

- 仕様変更が滞ることで業務プロセスが停滞し、生産性が低下。

- 新しいアイデアやイノベーションが実現しにくい状況を生む。

- ビジネスルールをシステムから分離して管理する仕組みを構築し、仕様変更に迅速に対応可能。

- 業務担当者が直接ルールを編集・管理できるため、技術者への依存を軽減し対応スピードを向上。

- 変更内容を即時反映可能な仕組みにより、業務効率とスピード感を維持しながら柔軟に対応

高スキル技術者への依存

- 特定の技術者にしか分からない業務が増え、属人化が進む。

- 技術者が退職・休職した場合、業務が停滞するリスクが高まる。

- システム保守や運用が複雑化し、他メンバーが対応困難となる。

- 負担が技術者に集中し、モチベーション低下や離職につながる。

- ビジネスルールを可視化し、業務担当者が理解しやすい形式で管理することで非技術者でもルールの編集・変更が可能に。

- ビジネスルールをアプリケーションから分離することで技術者の関与を最小限に抑え、属人化のリスクを解消。

- 業務担当者の直接的な関与が可能となり、システム保守効率の向上と運用負担の軽減を実現。

パッケージシステムの高コスト

- パッケージは標準仕様に基づく設計のため、企業独自の業務要件に対応するにはカスタマイズが必要。

- カスタマイズやテストに追加費用がかかる。

- ライセンス料に不要な機能のコストが含まれる場合が多い。

- システム間の連携や専門スキル習得にも高いコストが発生。

‐ InnoRulesとパッケージシステムと連携することで、仕様変更時に柔軟かつ迅速に対応可能。

- パッケージでは対応困難な業務ロジックをInnoRulesで補完し、システム全体の機能を強化。

- 他システムとの連携性を高めることで業務プロセスの統一性を維持しながら、保守性の向上と属人化の防止を図る。

スクラッチ開発による保守性の低下

- 開発者のスキルや知識に依存し、属人化が進む。

- 独自仕様が多く、新しい担当者がシステムを理解するのに時間がかかる。

- 長期間運用でコードが複雑化し、技術的負債が蓄積する。

- トラブル対応や仕様変更に多くの時間とコストが必要になる。

- ビジネスルールを標準化された形式で管理することで、新しい担当者でも容易に理解可能。

- ルールの可視化により技術者への依存を軽減し、迅速な仕様変更が可能に。

- システムの複雑化を抑制し、運用・保守コストの削減を実現。

- 柔軟性と効率性を向上させる仕組みを提供し、スクラッチ開発での課題を包括的に解消。


導入効果


属人化が排除され生産性UP



 InnoRulesの導入により、属人化を防ぎ、生産性向上や工数・コスト削減を実現します。業務担当者が直接ルールを管理でき、柔軟な対応が可能になることで、変化する市場や顧客ニーズに迅速に対応できます。効率的かつ競争力のある業務運営を実現します。この企業が実現した導入効果を記します。

導入効果

具体例

属人化の排除

経験の浅いエンジニアでも新機能の開発や保守が可能に

生産性向上

配送業務の仕様変更サイクルが6ヶ月から1ヶ月に短縮され、生産性が6倍に向上

工数削減

BRMSは従来のスクラッチ開発に比べ65%の工数削減を実現

コスト削減

パッケージシステムのカスタマイズをBRMSで吸収し、50%以上のコスト削減を達成

業務の柔軟性向上

ビジネス要求に迅速に対応可能となり、広告やキャンペーン業務でも柔軟に対応


属人化の排除が最も難しい理由は、属人化が「人」に依存する問題であり、技術や仕組みだけでは完全に解決できないからです。

属人化は、個人の知識や経験が業務の要となっている状態で発生しますが、それを解消するには、組織文化の変革や知識共有への意識改革が必要です。これには、個人が持つノウハウを引き出し、標準化・共有化する取り組みが求められますが、抵抗感や時間がかかることが多く、技術的な課題以上に難しい要素となります。

通常、属人化の課題解決にはドキュメント整備やナレッジ共有による情報の共有化が有効です。さらに、コーディング規約やレビューの徹底、モジュール化、標準ツールの活用により、技術者への依存を軽減します。

この企業のように、InnoRulesを導入した場合には、ビジネスルールを可視化・標準化し、非技術者でも管理・編集できる仕組みを構築できます。これにより、特定の担当者に依存せず、誰でもルールを理解し、操作できる環境が整います。さらに、変更がシステム全体に即時反映されるため、知識の共有化と業務の一貫性が促進され、属人化の解消がスムーズに進みます。

🎯さいごに


この企業によれば新規開発と保守フェーズの両方でスクラッチ開発と比較し大幅な工数削減が可能であることが分かりました。その分同じスタッフで出来る仕事の量が増え、現在ではビジネスからの多様な要求に応えることができるようになっています。今後は多様化するお客様のニーズに応えられるようルールの適用範囲を拡げていきたいです。